平成30年国立水俣病総合研究センター(国水研)一般公開を開催しました。
今年も毎年恒例の国水研一般公開を7月28日(土)に開催しました。天気にも恵まれ、いや、恵まれすぎたとでも申しましょうか、猛暑の中453名の方に足を運んでいただき、科学に関する企画を楽しんでもらいました。今年は8つの企画と国水研業務紹介コーナー、そして節電ブースなどを準備しました。各企画から報告いたします。
企画は定番のものから新規の物まで、科学イベントとして子供達の自由研究のヒントになる物や家族みんなで楽しめる物など盛りだくさんでした。
認知症が嗅覚障害の原因の一つとして最近注目されていることを説明した後に、実際に病院で使用されている“におい検査(においスティック)”を体験していただきました。においのついた紙をかいで、6個の選択肢から正解を選んでいくクイズを行いました。小さいお子様から年配の方まで多くの方にご参加いただきました。皆さん最初は少し戸惑われていましたが、ゲーム感覚の検査だったため次第に正解発表の時に歓声があがるなど盛り上がりました。参加希望者が多く、予定の回数(7回)を大幅に増やしました。
認知症の初期症状として嗅覚障害が生じることを説明。
何のにおいかな?皆さん一生懸命においをかいでいました。
えっ、においをかぐことで認知症の検査ができるのですか?微妙なにおいの違いをかぎ当てるのは難しそう…。でも先生が話上手だから楽しそう。
メチル水銀ばく露の指標として有用な「髪の毛の水銀測定」のコーナーを設けました。 夏休みの自由研究の参考にされたい親子連れの方々で、測定希望者数が昨年度を大きく上回りました。 また、会場の展示資料に見入ったり、スタッフに質問される方もいらっしゃいました。
ここではみなさんの髪の毛に蓄積する水銀量を測ってくれるのですね。ついでに展示資料で環境中の水銀のことが勉強できるとは、この施設ならではですね。
湯煎で融かしたチョコレートを、あらかじめ冷やしておいたバナナにかけることによって、口どけの良い結晶型のチョコレート作りを体験してもらいました。チョコレートの融解から凝固への観察を通じ、物質の変化を学んでいただきました。参加者は、お湯でチョコレートが解けて、冷すとすぐ固まることに興味津々な様子でした。
「固まったチョコレート」です。今年は、革細工(コインケース・キーホルダー・しおり作り)とUVレジン(樹脂)を使ったヘアゴム・マグネット・キーホルダー作りのリハビリ体験を行いました。例年以上に多くの方にお越しいただき、革細工は午前中で受付が終了するほどの大盛況でした。UVレジンを使った作品作りでは、飾り付けるパーツ選びから個性がうかがえました。参加された皆さんは汗を流して作り上げた自分だけの作品に満足されたようです。
多くの方でにぎわいました。アルコールの摂取や接触によりアレルギーがでやすい体質かどうかのテストを実施し、ご家族や大人の方を中心にご参加いただきました。スライドによる説明を受けた後にテストを受けるという流れでしたが、参加希望者が多く、大人の方限定で、テストのみのコースを追加しました。テスト後には、腕を見せあって結果を楽しそうに話す参加者のみなさんが印象的でした。
結果はどうだったかな?国水研と産業技術総合研究所が共同で開発している小型の大気中水銀測定機器を使って環境測定を体験していただきました。500円玉くらいの大きさの機器を使って、水銀濃度、気温、湿度、気圧の変化を記録する実験を行い、実験終了後は計測データをグラフにまとめて持ち帰っていただきました。また、環境政策貢献型の競争的研究資金である環境総合研究推進費により国水研が実施している2つの研究課題についても紹介しました。大人だけでなく小学生からも鋭い質問を数多くいただきました。
真空ポンプで気圧を下げて測定中。
小学生からの鋭い質問に回答中。
難しかったかもしれないけど、みんな何か新しい夏休み自由研究のヒントを得たかな?
国水研の研究や活動についてパネル展示で紹介しました。立ち止まって熱心に読んでくださる方、質問をされる方、水銀に関する研究論文を手にとっていかれる方もいらっしゃいました。節電ブースでは、LED電球と白熱電球の消費電力の違いを手動式発電機で体験してもらいました。電球の種類で発電に必要な力が異なることに驚く方が多かったようです。また、アンケートにご回答くださった方には、水槽の中の皿にコインを入れるゲームに参加いただき、景品をお持ち帰りいただきました。
国水研での研究(私たちの仕事)を紹介しております。バラやレモングラス、ミカンの花など6種類の中から、ビーカーの中に自分好みの匂いに合わせて適量を入れ、調合した花の香りをエタノールで加熱しながら取り出し、昆布のぬめり成分の中に閉じ込めました。とってもいい香りがして、みんな「こんな事が簡単にできるんだ」と喜んでいました。中には、「家でできないでしょうか?」と尋ねてくるお母さんや、「ゼリーみたいで食べたい!」と大きな声で叫んでいたお子さんもいました。
これは化学実験ですね。実際に実験器具を手に取り科学者の仕事を体験できたことは、子供・学生たちにとって貴重な経験になるのでは。ちなみにこれって昆布の香りはしないのでしょうか?今年も水俣湾で採集した生き物に直接触ることができるタッチプールを設置しました。今年のタッチプールは大型生物がいなくて少し寂しい状況でしたが、ナマコは相変わらず子供たちには大人気!?でした。チリメンモンスター(ちりめんじゃこの中にいる小さな生き物)ではレアなタツノオトシゴも2個体見つかり、大歓声が上がっていました。
えっ、これ触っても大丈夫なんですか?あ、タツノオトシゴ。これがちりめんに入っていたらレアものゲットだぜ!国水研屋上に上ると…そこは北に八代遠くに島原、南は出水・長島の八代海が眺められる展望スポットです。
いや~、いい眺め。でも暑かった。昨年は販売した食品がお昼前に完売したことから、今年は数を大幅に増やして販売しました。カレーライス、焼きそば、パンなどみんなおいしそうで、お昼過ぎには完売しました。食事スペースもこれまでより広く確保し、来場者の方に好評でした。
手作りパン、美味しかったです。また売ってください!小学生・未就学児の参加が最も多く、次いで保護者と見られる30代40代の方に多くご参加いただきました。
ご家族での来場者が多くを占めました。
地元の水俣市内が圧倒的でしたが、他にも隣の自治体、遠くは熊本市、福岡、関東から来られている方もいらっしゃいました。国水研一般公開にご興味を持ってい頂きありがとうございます。
約4割の方がリピーターで、大部分の来場者は初めての方々でした。是非またお越しください。
集計結果から、学校や園からのチラシと口コミによる周知が効果的であったことがわかりました。傾向は、去年と同じでした。
来場者の皆様に楽しんでいただけたようで、職員一同嬉しい限りです。
シャトルバスあれば利用するとおっしゃられる方が60名ほどいらっしゃいました。今後の参考情報にしたいと思います。
以上が今年の国水研一般公開でした。来年も楽しい企画を準備しますので、皆様のご来場お待ちしております。ありがとうございました。