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2011年度下半期(2011年10月1日から2012年3月31日まで)の大気中水銀の観測結果



  (解説)
  観測期間中の水俣市における大気中水銀濃度の平均値は2.0ng/m3であり、最高濃度は4.4 ng/m³(3/18の1時)であった。それ以外に4.0 ng/m³以上の濃度が観測されることはほとんどなかったが、数時間から2日間程度の間に3.0 ng/m³以上の濃度となることがあった。また、3月には2〜4日毎に断続的に濃度が上昇した。高濃度となったときの地上風向を調べると、北よりの風が吹くときに水銀濃度が高くなることが多かった。しかし、観測点の北から西は八代海が広がっており、水銀の放出源となるような施設は見当たらない。

2011年度上半期の結果でも述べたように、アジア大陸における水銀の大気放出量は日本に比べて多いため、偏西風によりアジア大陸から大気が輸送され、下降気流を伴う高気圧や寒冷前線により上空の大気が地表に到達したときに大気中の水銀濃度が高くなる傾向がある。そこで、高濃度となった日の水俣市上空の大気がどこから来ていたのかを後方流跡線解析((NOAAのHYSPRIT model 1)を使用)を用いて調べた。その結果、ほとんどの高濃度日においてアジア大陸から水俣上空に大気が輸送されていたことがわかった。高濃度となったときの天気図2)を調べると、九州地方に前線や移動性高気圧が接近するときが多く、下降気流が起こりやすい気象条件であった3)。そのため、アジア大陸から輸送されてきた高濃度の水銀が地表付近の観測点で観測されたのではないかと考えられる。しかし、上図の1/22と3/1は流跡線がアジア大陸を経由していなかったため、高濃度の要因は明らかでなく、今後も検討していく必要がある。

【参考文献】
  1. Draxler, R.R. and Rolph, G.D., 2013. HYSPLIT (HYbrid Single-Particle Lagrangian Integrated Trajectory) Model access via NOAA ARL READY Website (http://ready.arl.noaa.gov/HYSPLIT.php). NOAA Air Resources Laboratory, Silver Spring, MD.
  2. 気象庁, 2012. 日々の天気図.
    http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index. html
  3. 熊本県地方気象台, 2012. 気象月報