研究紹介

NIMDが開発した水銀分析法

水俣病の発生を契機に、水銀蓄積の評価や水銀曝露の健康影響の解明を目指した様々な研究や調査が世界中で進められてきました。その一環として世界中で多くの水銀分析法が開発され、様々な媒体(大気、水、土壌、生物)に含まれる水銀に関する知見が蓄積されてきました。水銀は環境中に広く存在しているため、各媒体に含まれる水銀の分析においては、対象試料に応じた前処理や分析法が必要であり、水銀の化学形態別の分析も求められます。

NIMD-A法(通称:赤木法)

 
 
国立水俣病総合研究センターにおいて、赤木洋勝元国際・総合研究部長を中心に確立された、生物試料(魚介類や毛髪等)や環境試料(水、土壌)といった様々な試料に適用可能な水銀分析法です。湿式分解法をベースとする総水銀分析法、及びジチゾンを用いた溶媒抽出法をベースとするメチル水銀分析法から成っています。水銀の検出は、それぞれ還元気化-半自動原子吸光分析計とガスクロマトグラフ-電子捕獲検出器で行います。
 

「赤木法」マニュアルについて

国内外において、的確なリスク評価のために、総水銀のみならずメチル水銀も、より高精度に分析できる技術が求められるようになってきています。「水銀分析マニュアル(通称 赤木法マニュアル)」は、これまで様々な場で示され、国際的にも高く評価されている赤木法が、さらに広く実用に供されるよう、「水銀分析マニュアル」策定会議(鈴木継美座長)によって取りまとめられ、環境省として発行したものです。

提供:ガイアみなまた

NIMD-B法

 
 
NIMD-B法は生物試料(魚介類等)を対象とした水銀の簡易分析法です。本法では、一台の機器を用いて、同一の生物試料中の総水銀と有機水銀の両方の測定が可能です。また、一種類の水銀標準液(同じ分析用物差し)で総水銀と有機水銀の両方の分析が可能です。さらに、煩雑なサンプルの前処理が不要であり、水銀の検出は加熱気化原子吸光測定装置で行うため、分析時に有害廃液が出ないことも特徴です。