水銀Q&A

水俣病の対策

Q

水俣病の患者さんは何人ですか?

A

認定された患者さんは熊本・鹿児島・新潟の3県で合わせて約3,000人です。

水俣病の認定は「公害健康被害の補償等に関する法律」に基づき行われており、令和3年(2021)10月末までに認定された患者さんは、2,999人(熊本県1,790人、鹿児島県493人、新潟県716人)です。このうち、生存されている方は、397人(熊本県213人、鹿児島県71人、新潟県113人)です。

また、認定されていなくても感覚障害や魚介類の多食等の条件に当てはまる人には総合対策医療事業が実施されており、その対象者は、38,320人(熊本県、鹿児島県、新潟県の3県合計)です。

Q

原因となった企業は、水俣病に対してどのような対応をしているのですか?
また、企業以外に責任を問われたことはありますか?

A

企業、国、熊本県は患者さんへの補償や汚染した環境の修復などを行っています。

水俣病の原因企業、新日本窒素肥料株式会社と昭和電工株式会社は、患者への補償、汚染した環境の修復や汚染により漁業ができなくなったことに対する補償などを行う責任(汚染者負担の原則)があります。また、平成16年(2004)の水俣病関西訴訟の最高裁判決で、国と熊本県にも賠償責任が認められました。
チッソ株式会社の場合、これらの費用の支払いができなくなるおそれが出てきたため、昭和53年(1978)から国、県は県債発行を通してチッソ株式会社に金融支援を行っています。

Q

水俣病の患者さんにはどのような補償がなされているのですか?

A

慰謝料や医療費の給付などがあります。

「公害健康被害の補償等に関する法律」に基づき患者と認定されると、原因企業との協定により、慰謝料として一時金が、他に年金、医療費、医療手当、介護費等が支払われます。
また、平成7年(1995)の政治的解決では、原因企業から一時金が支給されるとともに、水俣病総合対策医療事業において、医療手帳(療養手帳を名称変更)を交付し、国と県が医療費の自己負担分等を支給することになり、医療手帳の対象とならない者であっても、一定の神経症状を有する者に対して保健手帳を交付し、医療費の自己負担分等を支給することになりました。

さらに、平成21年(2009)7月に水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法(平成21年法律第81号。以下「水俣病特措法」という)が成立し、公布・施行されました。その後、平成22年(2010)4月に水俣病特措法の救済措置の方針(以下「救済措置の方針」という)を閣議決定しました。この救済措置の方針に基づき、一定の要件を満たす方に対して原因企業から一時金が支給されるとともに、水俣病総合対策医療事業により、水俣病被害者手帳を交付し、国と県が医療費の自己負担分や療養手当等の支給を行っています。また、これに該当しなかった方であっても、一定の感覚障害を有すると認められる方に対して、水俣病被害者手帳を交付し、医療費の自己負担分等の支給を行っています。

Q

水俣病に関係した裁判はありましたか?

A

多くの裁判が起こされ、現在でも続けられている裁判があります。

昭和46年(1971)に新潟で、昭和48年(1973)に熊本で原因企業を被告とする裁判において原告(患者)勝訴の判決が出され、その後、10件以上の裁判が起こされました。

平成7年(1995)に水俣病問題の政治的解決が図られ、ほとんどの裁判が取り下げられましたが、平成16年(2004)に水俣病関西訴訟の最高裁判所の判決が出ると、再び新たな訴訟が提起されました。これらの裁判についても平成21年(2009)の水俣病特措法が成立したのち、裁判で争っている団体の一部とは和解協議を行い、平成23年(2011)3月には和解が成立しました。しかし、現在でも続けられている裁判があります。