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森　敬介（もり　けいすけ）
生態学研究室・室長
専門：海洋生態学、ベントス生態学、環境保全
  ベントス（底生生物：ゴカイ、貝類、甲殻類など）の生態研究と海岸や干潟の環境保全に関する調査研究を幅広く行ってきた。２０１０年に国水研に赴任。国水研では、水銀の生物濃縮に焦点をあてた研究を中心に行っている。水俣湾における魚類を頂点とした食物網の解明を行い、底質及び水俣湾に生息する様々な生物種の水銀レベルを測定し、それをもとにした底質からベントスおよび魚類への水銀濃縮の機構解明を目指している。標本の採集にあたっては、干潮時に直接採集、船舶を使った採泥器による採集、底曳き採集、刺し網採集などで行い、分析を進めている。食物網解析では、胃内容物の直接観察と共にＤＮＡによる同定、安定同位体による食性チェックを併用して、総合的に解析を進めている。
  1997年から2年ごとに実施している水俣湾の潮間帯における生物群集と底質の水銀レベルモニタリング調査を続けている。
  熊本大学の大型プロジェクト研究（八代海再生研究）にメンバーとして参加し、八代海全域の生物調査を担当するとともに、水俣湾の底質構造の高精度解析を進めている。
  インドネシアの金採掘由来の水銀汚染状況調査では、生物濃縮に焦点をあてて、流域河川の上流、中流、下流域の集落を対象として、河川の底質、魚類と底生生物、住民毛髪の水銀分析を進めている。
  また、海洋生物に関する知識を活かし、一般向けの講習会等も積極的に行っている。
今年の研究テーマ・担当業務
  • 八代海における海洋生態系群集構造と水銀動態
    −水俣湾・八代海の底生生物相解明および食物網を通した魚類の水銀蓄積機構の研究−(RS14-11)
  • インドネシア、北スラウェジ、タラワアン川流域における小規模金精錬所由来の水銀汚染調査(RS14-17)
  • （共同研究・分担）文部科学省特別経費「生物多様性のある八代海沿岸海域環境の俯瞰型再生研究プロジェクト」（熊本大学）
  • 機器整備委員会
  • Web管理委員会
  • ビデオ作成委員会
  • 国際協力棟施設長
所属している研究グループ 
  • 地域・地球環境グループ
主な研究業績
著書
  • 鈴木孝男、木村昭一、木村妙子、森　敬介、多留聖典、干潟ベントスフィールド図鑑、約258ページ＋附表3枚、日本国際湿地保全連合、2013.03
  • 鈴木孝男、木村昭一、木村妙子、森　敬介、多留聖典、干潟生物ガイドブック～全国版（南西諸島を除く）～、270ページ＋附表1枚、日本国際湿地保全連合編、2013.03
原著論文
  • Akimoto K. Takikawa K. Yakita K. Hokamura T. Shimasaki Y. Mori, K. Sakamoto I and Takino Y : Accoustic equipment and ROV investigations of mercury diffusion in Minamata Bay, Yatsushiro Sea, Japan, Procedia Environmental Sciences (Elsevier), Vol.18, 174-181, 2013
  • Yasuda, Y. and Mori, K.: Mercury deposit distribution in Minamata Bay. Coastal Marine Science, Vol.34, 223-229, 2010
学会発表（水俣湾、水銀関係）
  • 森　敬介、金谷　弦　：水俣湾における水銀の生物濃縮に関する研究−安定同位体分析による食物履歴の検討−、四学会（動物、植物、生態、沖縄生物）合同大会、琉球大、沖縄、2014.5
  • 森　敬介、永野匡昭、マルクス・ラスート :インドネシア、北スラウェジ、タラワアン川水系における小規模金精錬所由来の水銀汚染調査。第61回日本生態学会大会、広島国際会議場、広島2014.3
  • MORI K.: Monitoring surveys on mercury levelas of benthos and sediments at intertidal area around Minamata Bay, Kyushu, Japan. ASLO Ocean Sciences Meeting 2014, Hawii Convention Center, Hawaii, 2014.2
  • 森　敬介：水俣湾における潮間帯生物群集および水銀レベルのモニタリング調査．日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会、東北大学、仙台、2013.9
  • Mori K., Lasut M., Nagano M. : Mercury contamination by many small-scale gold　ore smelters along Talawaan River, North Sulawesi, Indonesia. ICMGP2013, Edinburgh, Scotland, 2013.8
  • 秋元和實、滝川　清、矢北孝一、外村隆臣、島﨑英行、森　敬介、坂本　泉、滝野義幸 ：水銀汚染土壌浚渫後の水俣湾の海洋環境. 日本地質学会西日本支部第163回例会、島根大学、島根、2013.2
  • Mori K, Lasut M.T, Nagano M : Mercury contamination by many small-scale gold ore smelters in Talawaan River, North Sulawesi, Indonesia. Workshop “Selection on Biological Indicator for Marine Ecological Study at PMBC, Phuket, Thailand“ 2012.12
  • Mori K, Yasuda Y,: Long term change of macro algae on rocky shores around Minamata Bay, west Kyushu, Japan, The First Asian Marine Biology Symposium，Phuket, Thailand, 2012.12
  • Mori K, Lasut M, Yasuda Y : Mercury pollution by many small-scale gold ore smelters in Talawaan River, North Sulawesi, Indonesia.　59th Annual Meeting of Ecological Society of Japan / The 5th EAFES (East Asian Federation of Ecological Societies) International Congress, Otsu, Japan 2012.3
  • Mori K, Lasut M, Yasuda Y : Mercury pollution by many small-scale gold ore smelters in Talawaan River, North Sulawesi, Indonesia. NIMD FORUM 2012, Minamata, 2012.2
  • 森　敬介 ：水俣湾における魚類の水銀蓄積機構の解明(予報). 2011年度日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会,高知大学、高知、2011.9
  • Mori K, Lasut M, Yasuda Y : Mercury distribution in the sediment of Talawaan River, where many small-scale gold mines are operating in its upstream region, in North Sulawesi, Indonesia. The 10th International conference on mercury as a global pollutant (ICMGP2011), Halifax,Canada, 2011.7
  • 森　敬介 :水俣湾砂泥干潟における底生生物分布状況　−水銀汚染を乗り越えて−、日本生態学会第58回大会、札幌コンベンションセンター、札幌市、2011.3
  • 森　敬介 :水俣湾周辺海域に発見された希少底生生物について、2010年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会、東京大学大気海洋研究所、千葉県柏市、2010.10
学会発表 （その他）
  • 山下博由、森　敬介　：有明海の貝類相の総合的再検討、日本貝類学会平成26年度大会、大阪市立自然史博物館、大阪、2014.4
  • 横井謙一ほか計32名 : 環境省モニタリングサイト1000沿岸域調査（磯・干潟・アマモ場・藻場）2008-2012年度の成果、第61回日本生態学会大会、広島国際会議場、広島2014.3
  • 熊本県希少野生動植物検討委員会海洋動物班　：羊角湾における塩性湿地回復事業　その２、第38回九州海洋生態談話会、宮崎大学農学部附属フィールド科学教育研究センター延岡フィールド、延岡、2014.3
  • WIJ八代海干潟調査隊　：「干潟生物の市民調査」手法による八代海のベントス調査、三学会（動物、植物、生態）合同大会、熊本大学、熊本、2013.5
  • 熊本県希少野生動植物検討委員会海洋生物班　：羊角湾における塩性湿地回復事業、第37回九州海洋生態談話会、熊本大学合津マリンステーション、熊本、2013.3
  • WIJ八代海干潟調査隊　：市民による干潟調査の方法について、シンポジウム「八代海の再生をめざして」、やつしろハーモニーホール、八代、2013.2
  • 中川雅博、佐々木美貴、桝本輝樹・多留聖典、森　敬介、つる詳子、鈴木孝男 :『干潟生物の市民調査』手法による八代海のベントス相調査、日本湿地学会第4回大会、東京農業大学、東京2012.8
  • WIJ八代海干潟調査隊　：干潟市民調査法の紹介　球磨川調査を例として、第36回九州海洋生態談話会、鹿児島大学水産学部附属海洋資源環境教育研究センター東町ステーション、鹿児島県出水郡長島町、2012.3
  • 森　敬介 ：有明海における底生生物の分布状況"ヨコエビ類を中心に"、日本動物学会・日本植物学会・日本生態学会九州地区合同大会、九州大学箱崎キャンパス・九州産業大学工学部、福岡、2010.5
報告書その他
  • モニタリングサイト1000沿岸域調査　磯・干潟・アマモ場・藻場　2008-2012年度とりまとめ報告書。環境省生物多様性センター、93pp、2014.3
  • モニタリングサイト1000平成25年度磯・干潟・アマモ場・藻場調査報告書(466pp)およびデータファイル集、環境省生物多様性センター、2014.3
  • 文部科学省特別経費「生物多様性のある八代海沿岸海域環境の俯瞰型再生研究プロジェクト」平成23-27年度中間研究成果報告書、166pp、2014.1
  • 文部科学省特別経費「生物多様性のある八代海沿岸海域環境の俯瞰型再生研究プロジェクト」H24年分報告書、pp41, 2013.2
  • 日本国際湿地保全連合：　「干潟生物の市民調査」手法による八代海のベントス相調査、富士フイルムグリーンファンド事業報告書 42pp、2012.8〔指導者として協力〕
  • 干潟の絶滅危惧動物図鑑　海岸ベントスのレッドデータブック、日本ベントス学会編、東海大学出版会、285pp、2012.7〔写真及び情報提供〕
外部資金による研究
  • 2011-2015 “文部科学省特別経費(プロジェクト分)”生物多様性のある八代海沿岸海域環境の俯瞰型再生研究プロジェクト　分担
  • 2005-2007 "科学技術振興調整費　重要課題解決型研究等の推進"有明海生物生息環境の俯瞰的再生と実証試験　２（６）非水産対象生物を主とする生物生息状況　分担（サブテーマ代表）
  • 2004-2005 "河川環境管理財団研究助成"　河川汽水域の水環境と生物環境に関する研究会　分担
  • 1997-2009　国水研・九州大学共同研究　水俣湾における水銀レベルの現況調査（モニタリング）・全国水銀レベル調査　分担
  • 1995-1997 科研費，基盤Ｂ 海岸動物の資源利用と種間相互作用　代表1995-1996 科研費，基盤Ｃ 潮下帯生物による転石潮間帯生物群集に対する捕食圧　代表
  • 1992-1997“水産庁受託研究”　有害化学物質汚染メカニズム解明調査（水俣湾の底生無脊椎動物を中心とした食物連鎖と水銀蓄積機構の解明）　代表
  • その他研究助成：　藤原財団、笹川財団、水産無脊椎動物研究所、富士フイルムグリーンファンドなどの研究助成。九州大学学内共同研究プロジェクト(今津干潟調査)、東京大学海洋研究所共同利用（大槌湾調査）。九州大学産学連携共同研究（船底塗料、漁網、環境調査など複数）。環境関連企業より奨学寄付金。
主な履歴、学歴、学位、表彰等
鹿児島大学理学部生物学科卒，九州大学大学院理学研究科修了（理学博士）
九州大学理学部附属天草臨海実験所助手，助教を経て2010より現職。
2011-現在　熊本大学非常勤講師。
社会活動：
2009-現在、環境省モニタリングサイト事業　沿岸域磯調査天草サイト代表
2009-現在、ＮＰＯ法人日本国際湿地保全連合の干潟保全活動に専門家として協力。
1995-現在、熊本県環境センター環境教育指導者。
1993-現在、熊本県希少野生動植物検討委員会（海洋動物班班長）。