平成14年度 国際的水銀汚染問題への対応に関する研究
有機水銀の健康影響に関する研究のレビュー

研究者 佐藤 洋(東北大学医学系研究科教授)

研究要旨

本研究では、「国際的水銀汚染問題への対応に関する研究」としては、まず、世界各地でどのような水銀汚染問題があるかを文献によって調査した。「有機水銀の健康影響に関する研究のレビュー」としては、感受性の高い胎児期曝露の生後の発育発達への影響を中心に据え、生涯の曝露も含めて健康影響について検討する。今年度は、水銀汚染問題を報告している文献について、科学的な文献に加えて、情報データベースから共同研究や調査の事例の報告書や新聞記事なども含めて検索・収集を行った。また、メチル水銀に感受性の高い小集団、特に、妊娠中に曝露を受けた胎児の健康を脅かす有害影響を防止する目的で、メチル水銀の基準摂取量(毎日摂取しても人体に影響を及ぼさないとされる量 reference dose、RfD)に関して調査を行った。更に現在進行中の調査の視察として、アフリカのタンザニア連合共和国において金鉱山に関連する水銀汚染の調査、及び、インド洋上のセイシェル共和国を訪問し、低濃度メチル水銀の曝露に関して、現地で進行中の大規模前向き疫学調査研究の視察を行ったので、これらのタンザニア及びセイシェルの視察に関して報告する。

キーワード:水銀汚染、神経行動学影響、基準摂取量、低濃度胎児期曝露、タンザニア、セイシェル

研究協力者氏名

仲井邦彦(東北大学医学系研究科助教授)、 亀尾聡美(東北大学医学系研究科助手)
永沼 章(東北大学薬学研究科教授)、村田勝敬(秋田大学医学部教授)
吉田 稔(聖マリアンナ医科大学助教授)、赤木洋勝(国立水俣病総合研究センター部長)
岡 知子(東北大学医学系研究科・熊本大学医学研究科大学院生)

Ⅰ 研究目的

メチル水銀による健康影響の全貌は科学的に明らかにはされていない。ことに低濃度曝露の影響については、閾値を含めて解明されておらず、魚類等に蓄積したメチル水銀曝露のハイリスクグループである胎児期曝露を受けた児の発育発達への長期的影響を明らかにする必要性は、日本人も比較的魚食の多い集団なので高い。また水銀汚染問題は、国際的には金採掘・精錬にともなう水銀の放出があり水銀蒸気への作業者の曝露とその後の中毒を予防し、さらに水銀蒸気の放散による汚染の長期的影響、すなわち環境中でのメチル化と生態系での濃縮を防ぐ必要がある。これらの実態を明らかにし、国際協力を中心とした効率の高い対応を創出することを目的とする。

Ⅱ 研究方法

「国際的水銀汚染問題への対応に関する研究」としては、まず、世界各地でどのような水銀汚染問題があるかを文献によって調査する。本年度は、メチル水銀の健康影響に関する文献調査も引き続き行なう。前年までの研究班のメチル水銀の健康影響に関する文献レビューを見直し、文献の漏れが無いかを確認する。その後水銀汚染問題を報告している文献も含めて、Medline、Dialog等のデータベースから検索・収集する。さらに今年度は、水銀汚染問題を報告している文献について、科学的な文献に加えて、情報データベースから報告書や新聞記事なども含めて検索・収集を行った。メチル水銀の健康影響に関する文献調査においては、本年度は、特に胎児期曝露のメチル水銀に感受性の高い小集団(特に、妊娠中に曝露を受けた胎児)の健康を脅かす有害影響を防止する目的で、メチル水銀の基準摂取量RfDに着目してその算出方法を調査した。

文献に記述された事項だけでは詳細は不明なことも有るので、世界における水銀汚染の実態と世界の数カ所で進行中の胎児期曝露の生後の影響についてのコホート調査の視察のため、本年度は、アフリカのタンザニア連合共和国において金鉱山に関連する水銀汚染の調査、及び、インド洋上のセイシェル共和国を訪問し、低濃度メチル水銀の曝露に関して現地で進行中の大規模前向き疫学調査研究について実際に視察を行った。

(倫理面への配慮)
倫理面への配慮については、公開された文献の調査、及び調査の視察を中心とする研究であるので特に必要とは思われない。

Ⅲ 研究結果

Ⅲ-1 世界各地の水銀汚染問題に関する文献調査

Medline(1997-2002 年)を対象データベースとして、key words = mercury and pollution で検索すると、118(66)論文がヒットした(カッコ内は今年度新規に検索されたもので内数、以下同じ)。Key words = mercury & fetus/infant で検索すると167 (48)論文がヒットした。そのうち、今年度の検索にて新規に抽出された文献を、別表-1に挙げる。ただし、新規に検索された論文では胎児期曝露の生後の影響に直接関連する論文は、ほとんどなかった。

新聞記事では、Dialogのデータベースのうち"Papers"のファイル703 (USA Today)を対象にした1997から2002年までの検索で、 key words = mercury & fish (USA Today) で83、key words = mercury & infant (USA Today) では 26、key words = mercury & pollution (USA Today) では 66、mercury & health (USA Today) では 159 のヒットがあった。しかし、今回の必ずしもkeywords では、必ずしも期待されるような記事が検索されてくるわけでなく、夾雑物の多い結果となってしまった。おそらく、dental amalgamに関する記事が多かったことによると考えられるが、さらに詳細に検討する必要があろう。

なお、文献の総括は、来年度詳細に行う予定である。また、新聞記事についてももう一度環境汚染の報道を中心に絞り込む必要がある。

今年度は、数少ない胎児期曝露の生後の影響に直接関連する論文(S. Cordier, M. et al (2002))について概説する。この研究はコホートでなく横断的調査である。

調査地は、仏領ギアナで、アマゾン川流域と同様に金採掘による水銀の環境汚染が懸念されている。特に上マロニ(Upper Maroni)川の集団では、魚食が日に2回と多く、79%の子供の毛髪中水銀濃度 10μg/g を越えている。他に幾何平均で6.5μg/g と1.4μg/g の2集団(ともに、原住民:Amerindian)との比較が可能であった。母親の調査時点での毛髪中水銀濃度の幾何平均は、それぞれ12.7、6.7、2.8μg/g とやや子供よりも高い。

本研究は、横断的研究で上マロニ川の9ケ月から6歳までの児童97人にあわせた対象を対照群とした二つの集団からランダムに選び、神経学的検査を行った。また、5から12歳児については神経心理学的な検査を行っているが、この時は毛髪の水銀レベルが低い方の集団だけを対照群とした。

神経学的検査の結果は、重篤なものは歩行の遅れが二人の児童に見られたが、毛髪水銀が中間レベルの対照群であり、水銀との関連は考えられなかった。しかし、深部腱反射の増強は、母親の毛髪水銀濃度の上昇にともなっていた(男児では統計学的に有意な増強、女児では有意に近かった)。これは2歳もしくはそれ以上の年令を対照とした時でも同様であった。また、ロジスティック回帰分析で、性・年令・出生場所を交絡因子としたときも、母親の毛髪水銀の影響は有意であった。但し、半年後に上マロニ川の深部腱反射増強の見られた児童10人を別の検査者が診察すると3人にしか増強が見られなかったとも記している。

神経心理学的な検査では、5-12歳の上マロニ川の児童103人と毛髪が一番低値であった集団を対照群として、検査を施行した。Stanford-Binet試験のCopying testとMaCarthy scalesのDigit spanで、二つの集団で有意な差が認められた。さらに、脚の協調運動では、上マロニ川の集団内で曝露量の高い群に成績の悪いものが多いという結果になった。

この研究は、横断研究であり年令の異なる児童を含む集団であるために、解釈は難しい。さらに水銀曝露の高い集団の居住地は、都会から離れた村落らしく、母親の教育レベルも低く、調査に際しても(おそらく現地語の)通訳が必要なことがしばしばであった。それに対して水銀曝露の最も低い集団の居住地は、海岸沿いの都市であり、母親は教育も受けており収入も多い。

著者らもみずから、SeychellesやFaroeとは異なった検査を用いざるを得なかったことを認めている。その上胎児期の曝露の指標を、調査時点の母親の毛髪としたことも、調査結果の解釈を困難にしていることも明らかである。しかし、出生数の少ない集団では前向きコホートは不可能であるとも考えられる。

したがって、本研究は胎児期曝露のリスク評価、ことに閾値やdose-response curveの設定には有用とは言えないが、これまで研究されてきた集団とは別な集団においても、おそらく妊娠中の母親の毛髪水銀濃度10ppm前後で、何らかの影響が生後の児に見られることを明らかにしたものと言える。

Ⅲ-2 メチル水銀の基準摂取量(RfD)の行方

米国環境保護庁(EPA)は、メチル水銀に感受性の高い小集団(特に、妊娠中に曝露を受けた胎 児)の健康を脅かす有害影響を防止する目的で、メチル水銀の基準摂取量(毎日摂取しても人体 に影響を及ぼさないとされる量 reference dose、RfD)を0.1μg/kg/day と1995 年に定めた(EPA, 1997)8)。本稿は0.1μg/kg/day の値がどのような背景および仮定の下で計算されたのか検証する。

対象集団の選択

水俣病で代表されるメチル水銀中毒は日本 (1956) のほか、イラク、中国などの国々でメチル水銀の工場排出あるいは食品汚染を介して集団発生した。日本の水俣病研究は、原因究明の過程において疫学調査の重要性を認識させたが、正確な曝露評価は当時行われておらず、メチル水銀の人体影響に関する量−反応関係を確立するに至らなかった。これに対して、イラクのメチル水銀中毒禍は発生当初より米国Rochester 大学の研究者が曝露評価および影響評価を行っていた(Cox et al., 1989)7)。また、1980年代後半よりメチル水銀に関する前向き疫学調査が幾つか行われていたが、研究の途についたばかりであった。このため、EPAはRfD値を決定するに当たり、Marsh et al. (1987)11) のイラク研究を採用した。

イラク研究では、妊娠中にメチル水銀で処理された小麦から作ったパンを摂取した女性から生まれた子供の神経発達異常(18ヶ月児の歩行および24ヶ月児の言語の遅れ)、脳性麻痺、筋緊張異常、深部腱反射異常等が二人の神経学者によって検査された。また、曝露後の母親の頭髪はX線蛍光分光光度計で分析され、頭髪水銀濃度は1~674μg/g (ppm) であった。これらの母子81組のデータを用いてメチル水銀曝露による量−反応関係が検討された。なお、母親の頭髪水銀濃度の結果より、集団全員が曝露を受けている訳でなく、非曝露者もいることが推定された。

毛髪−血中濃度比率の算出

頭髪の成長速度はal-Shahristani et al. (1976) 3)の研究より、1 cm/月であることが報告さ れている。また、イラク女性の髪は非常に長かったので、頭髪により妊娠期間中の水銀濃度を推 定することが可能であった。一方、頭髪水銀濃度と同時期の血中水銀濃度の関係については多く の研究報告があり、頭髪−血中濃度の比率として250:1(頭髪水銀μg/g:血中水銀μg/ml)が 採用された(この経緯は後述する)。これにより、妊娠中の母体の血中濃度(胎児の曝露レベル) は頭髪水銀濃度から換算することによって推定可能となる。

毛髪−血中濃度比率の算出に関して文献を調べると、この比率は140~460まで幅があり、約3倍も異なる。これは主に採取部位(頭毛と腋毛、頭皮からの距離)の違いによると考えられている。髪を分割せずに測定すると、毛髪水銀濃度は長期曝露の平均値を示すが、血中水銀濃度は限られた時期の曝露平均値であり、両者に違いが生じる。魚介類を高頻度に食べる集団の平均頭髪水銀濃度は季節により3倍もの変動が見られ、秋から初冬にかけて高値となる(Phelps et al., 198015); Suzuki et al., 1992)18)

Berglund et al. (1971) の引用によると、Tsubakiは毛髪−血中濃度比率を370と報告したが、血中水銀濃度はサンプル採取時に既に低下しつつあり、頭髪の水銀濃度はそれ以前の高い血中濃度を反映していたと考えられた(その後、比率260 と報告した)。Cernichiari et al. (1995)6) はセイシェル在住の母親から調べ、毛髪−血中濃度比率を416 と報告した。Phelps et al. (1980)15)は米国北西部のOntarioの339人から頭髪および血液を採取・分析し、毛髪−血中濃度比率を296と報告した。その時、Phelps et al. は(1)血液および毛髪の採取はメチル水銀摂取を完全に中止し、(2)体内メチル水銀の半減期は52日であり、(3)血中メチル水銀レベルが頭髪レベルに現れるのに4週間要する、(4)頭髪水銀のうち、94%がメチル水銀であると仮定すると、「実際の比率はおそらく200よりは高いが、観察された296よりは低い値だろう」と述べた。また、対象集団の生体試料の実際の採取は1/3が季節変動の上昇期に、2/3が下降期に行われたが、下降期に全員の採取を行ったこととして算出したので、実際は296よりも小さくなるはずである。これらを勘案して、中央値250がイラク集団の毛髪−血中濃度比率として採用できると結論した。

臨界濃度の決定

小児の神経発達影響に及ぼす臨界濃度は、Marsh et al. (1987)11) が報告した神経影響を全て考慮した発症率と妊娠期間中の母親の頭髪水銀濃度より、Benchmark dose(BMD; 昨年度の報告書参照)approach(Weibull model for extra risk)で推定された(National Research Council, 2000)14)。ここで算出されたBMD は頭髪水銀濃度で11μg/g であり、この値は換算式より血中水銀濃度で44μg/L と考えられた。

RfDの算出

ある血中濃度(C、上述値44 μg/L)に対応する一日当たりのメチル水銀の食事摂取量(d、単位μg/day)を算出するため、(1)吸収率(A、無単位で0.95)、(2)排泄定数(b、0.014 /day)、(3)体内総血液量(V、5L)、(4)体内総水銀の循環血液中に存在する比率(f、無単位0.05)が検討された。これらの数値を決定するに至る経緯は以下の通りである。

(1) 吸収率 Aberg et al. (1969)1) は、放射性同位元素でラベルした硝酸メチル水銀を水に溶かし、健常ボランティア3名に与えた。その後、メチル水銀の体内への吸収率を算出すると95%以上であった。同様に、Miettinen et al. (1971)12)の実験でも確認された。後者は、メチル水銀の蛋白化合物を得るために放射性同位元素でラベルした硝酸メチル水銀を加えた魚の肝臓のすり身を作り、1週間魚に与えた。この魚を調理し、メチル水銀濃度を確認した後にボランティアに食べさせた。この時の平均吸収量は94%以上であった。これらの実験結果より、吸収率は0.95とした。

(2) 体内総水銀の循環血液中に存在する比率 ヒト体内に吸収されたメチル水銀の血中に存在する比率に関しては3つの研究報告がある。Kershaw et al. (1980)10) は、メチル水銀に汚染された鮪を食べた成人男子5名の結果に基づき、吸収量の0.059(平均値)が総血液の中に存在すると推定した。Miettinen et al. (1971)12) は、203Hg-メチル水銀を含む魚を食べた男性9名、女性6名で、曝露後数日で血液1L につき総負荷量の約10%が現れ、その後100日以上経過して約5%になったと報告した。Sherlock el al. (1984) 17)は、メチル水銀量がわかっている魚を3ヶ月間食べた対象者から、血液1L中に平均1.14%のメチル水銀が存在することを観察した。一日当たりのメチル水銀の平均摂取量は43~233 μg であり、摂取量に関連して血中量は増加し、その値は1Lの血液に1.03~1.26%であった。これらの値を成人の血液量約5Lに換算するため5倍した。このように、血中に存在するメチル水銀比率は0.05の値が採用されたが、Berglund et al. (1971)4)やWHO (1990)19) も同じ値を使用している。

(3) 排泄定数 メチル水銀の半減期については、Miettinen (1971)12)、al-Shahristani & Shihab (1974)2)、Kershaw et al. (1980)10)、Sherlock et al. (1982)16) が毛髪あるいは血中のメチル水 銀濃度の測定から35~189日と推定した。これらの報告のうち、2つは1971-1972年のイラク中 毒禍で曝露した集団から算出されたものである。4研究の排泄定数の平均は0.014であり、また 魚に含まれる43~233μg/day の水銀を3ヶ月間摂取した20名のボランティアから得られた平均 も0.014であった (Sherlock et al., 1984)17)。以上のような理由でb値には0.014 /dayが用い られた。

(4) 体内総血液量 血液量は体重の7%であるということは各種実験的方法によって確認されている。妊娠中は血液量が20%から30%増えることがあり、体重当たりの血液量は約8.5~9%になる (Best, 1961)5)。イラク女性の体重に関するデータはなかったので、妊娠中の体重を58kg、血液量を 9%と仮定すると、5.22 Lの血液量が算出される。計算ではV値として5Lが採用された。

(5) 体重 RfD算出のための臨界影響指標が小児の発達影響であるが、臨界濃度は水銀に汚染された小麦を食べた母親に特異的な指標を用いて計算されるべきである。しかしながら、対象者の体重データは入手できなかったので、成人女性の初期設定値として60 kg(58 kgを四捨五入)が使用された。

定常状態が存在し、水銀の一次動態もそれに常に追随していると仮定すると、以下の式によって一日当たりのメチル水銀の食事摂取量が計算される。

d = C \cdot b \cdot V \diagup (A \cdot f)

血中水銀濃度44μg/L を生じる一日当たりのメチル水銀の食事摂取量dがこの式より算出されるが、この式をさらに体重60kg(bw、モデルの初期値として成人女性の平均体重を設定)の人が摂取したと仮定すると、以下のようになる。

d = C \cdot b \cdot V \diagup (A \cdot f \cdot bw)
d \mu g/kg/day = 44 \mu g/L \cdot 0.014/day \cdot 5L \diagup (0.95 \cdot 0.05 \cdot 60 kg)

以上より、1.1μg/kg/day(=d)が血中44 μg/L または毛髪中11μg/g のメチル水銀濃度を維持する一日当たりの食事摂取量として算出された。

RfDは、上述のd値(BMD)の他に、不確定因子(Uncertainty factor、UF)および修飾因子(Modifying factor、MF)が加味され、以下に示す式で算出される。なお、不確定因子として10を使用しているが、これは(1)2世代間の生殖要因(例えば、母体血から胎児血へのメチル水銀の透過率や胎内での神経毒性影響など)に関するデータの欠如、(2)ヒト集団に内在するバラツキ(特に、メチル水銀の幅広い生物学的半減期や毛髪−血中濃度比率に起因するバラツキ)、(3)長期曝露からの後遺症に関するデータの欠如を考慮しての結果である。また、修飾因子は初期設定値として1を使用している。

RfD &= (Benchmark\ dose) \diagup (UF \cdot MF)\\ &= (1.1 \mu g/kg/day)\diagup(10 \cdot 1)\\ &= 0.1 \mu g/kg/day

Ⅳ 考察 及び、Ⅴ 結論(Ⅲ-2 における考察・結論)

現在、NASが選択したFaroe Islands Prospective Study (Grandjean et al., 1997) 9)の7歳児の結果によるBMD(およびRfD)の見直し作業とともに、14歳児における神経影響の解析結果の評価が行われている。このフェロー研究では、母親の出産時の頭髪水銀濃度とともに、臍帯血水銀濃度が測定されており、より直接的な出生前後の“胎児”の血中水銀濃度を持っていることが最大の強みであろう(村田と嶽石, 2002)13)。また、追跡調査としての14歳児データは、出生後のメチル水銀曝露の影響を評価することを可能とする。入手可能なデータの中でメチル水銀に最も感受性の高い影響指標 (endpoint) として、胎児期に曝露された小児神経発達がNASの委員会 (2000) で是認されている。しかし、他の臓器(例えば、免疫・心血管系)への低濃度曝露影響も示唆されており、何を影響指標とするかが今後の検討課題となりそうである。

RfD は0.1 μg/kg/day と1995年に算出されたが、上述の不確定因子UFは専門家による判断(米国国立科学アカデミー、NAS)、公衆衛生の目標、EPAの規制勧告等々に影響される政策的因子と考えるべきである。かかる意味で、不確定因子に含まれるヒト集団に内在するバラツキ(b、V、A、f)や胎児の曝露濃度がたとえ正確に算出できるようになっても、米国においてはUF=1としない可能性が高い。

一方、メチル水銀のRfDの改訂は公衆衛生とともに環境保護に大いに関連する。米国の州機関が水質基準の確立や水銀の大気・水への放出規制の設定にRfDを使用するだろうし、既に40州では淡水産魚介類摂取に係わる勧告を出している。このようにRfDの改訂は、産業における排出方法やリサイクルの選択肢だけでなく、魚市場や人々の食物選択にも影響を及ぼす可能性がある。それゆえ、一層の科学的根拠に基づいたRfDの改訂が行われることをEPAに望むとともに、わが国でも国民の理解の得られる同様の基準値を設定することが重要と思われる。

引用文献

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Ⅲ-3 海外調査の視察報告

【1】ビクトリア湖周辺のゲイタ金採鉱地における環境問題

タンザニアでは小規模金採鉱は職を提供するとともに、350,000人以上の人々の生計が成り立っている。金採鉱は半公共的であり、しかも国中に点在し、今や採鉱を規制することは困難となっている。1989-1995年間のゴールドラッシュの時代には金の生産量は4トンを越えていたが、最近は地表面の金鉱床の金が枯渇してきており、生産が減少している。金の抽出に水銀アマルガム法が用いられ、年間8 トン以上の水銀が4トンの金の生産に対し使用されている。この水銀が環境に放出されるため、水銀による環境汚染や健康影響がこの国では大きな問題となっている。今回、タンザニアの数ある金鉱地の中でビクトリア湖の周辺の点在するGeita金採鉱地(Mugusu鉱山、Blue Reef鉱山、Rwamagaza鉱山)を視察し、この国の水銀による環境汚染の実態を知り得る機会を得た。1)

金鉱の位置

ビクトリア湖周辺の金採鉱地Geitaはタンザニア第二の都市Mwanzaの南西約100~155kmにある(図1)。そこへの交通はKamangaまでフェリーに乗り、その後、Mwanza-Segerema間の主要道路を使い、車でGeitaに行くことができる。MwanzaからKamangaまではフェリーで約30分かかる。KamangaからGeitaまでは、車で約2時間の道のりである。

ビクトリア湖金鉱地

ビクトリア湖金鉱地はビクトリア湖の南地区と西地区に位置する多くの金鉱を総称した名称である。その中には南西地区のMwanza金鉱、Musoma金鉱やIramba−Sekenke金鉱も含まれる。これらの金鉱地区はNyanzian緑色岩帯の小仏硬砂岩や少し変成した苦鉄質火山岩や硅長質火山岩からなる Archean時代(紀元2400年以前)の地質でできている。これらの火山岩はNyanzian緑色岩帯のほとんどの地域で露頭を作っている巨大な花崗岩に貫入している。ビクトリア湖金鉱地の金は主に4つの鉱床よりとれる。(1) 金を含む石英脈やCu に富む脈状硫化物(Stockwork)、(2) 縞状鉄鉱鉱床中の硫化物と結合した鉱染金や剪断したメタ火山岩、(3) ラテライト中の溶脱層金鉱床、(4) 沖積あるいは河川堆積物または砂鉱床。最も多く金を含んでいる石英脈はNyanzian緑色岩帯内の剪断帯に存在している。

金の採鉱

ビクトリア湖金鉱地帯での金採鉱事業は機械による採鉱と手堀による採鉱にわけられる。機械による採鉱は植民地支配の間、1960年以前から1960代初期に最も栄えた。機械により採鉱される金の大部分はMwanza南西部Geita鉱山、Mara地区のKiabbakari、BuhembaそしてMara鉱山やIramba地区のSekenke鉱山で生産された。これらの鉱山は1961年代半ばに、国家が独立したのち、政治的理由により直ちに閉鎖された。新しく機械化された金採掘だけがビクトリア湖金鉱のGeita地区のBuckreef鉱山で今日まで操業している。民営会社が鉱山を閉鎖する数年前に坑内の採掘は182mまで達している。

金鉱周辺で住民が働く小規模金採鉱地はタンザニア全土に点在している。小規模金採鉱(手堀採鉱)は基本的に過酷な労働であるが、採鉱が簡単なため、国の至る所で、無計画に行われており、約350,000人が生計を立てている。このタイプによる採鉱が、1980年代後半に始まったゴールドラッシュ以来、タンザニアの金生産の主な採鉱方法である。手堀採鉱による年間の産出量は公的な金販売量から4トン以上と推定されている。しかしながら、この産出は石英脈、ラテライトや砂鉱鉱床の地表面近くの良質な金鉱石が枯渇してきたため、ここ2~3年は減少している。手堀採鉱は国家にとって外貨獲得に大きな役割を果たしているが、環境への影響が大きな問題となっている。鉱山採鉱は一般に無計画であり、規制されていない。手堀採鉱による環境問題には森林破壊、土地の退廃や肥沃な表層面が赤土により覆われることや、水源の物理的汚染そして水銀汚染などが含まれる。

Mugusu鉱山

Mugusu鉱山はGeita森林保護地内の旧Geita鉱山から約19km、Geita町の西約25kmに位置している。Mugusu鉱山の村はSaragura-Mugusa丘陵地で金が発見されたのち、1988年にできた。 ビクトリア湖金鉱地の南西Mwanza地区で操業している小規模金採鉱のキャンプの一つである。1990年7月には、この鉱山の村の住人は6,000人であった。1995年には鉱山労働者、金加工業者などで15,000人に増加した。

Mugusuの金は、網状の小さな石英脈や変成化した脈状硫化物そして非常に風化し、カオリン化した流紋斑岩や凝灰岩に存在する。斑岩は褶曲し、破断した縞状鉄鉱鉱床に存在する。

手堀採鉱場では、最初に金脈の鉱化母岩に深抗や立抗掘りを行う(図2)。引き続き主な立抗と連結した通洞を通して金鉱石の坑内採掘が行われる。丸太や木材は鉱山の立抗の崩壊を防ぎ、そして立抗の壁を補強するために用いられる。立抗(約1×1m)は鉱夫にとって深刻な換気の問題を引き起こす限界の深さ70mまで掘られる。この深さ以上の採鉱には坑内の排水や換気のための電動エアーコンプレッサー、ウォーターポンプなどが必要となる。そのため、これらの採鉱地を捨て、新たな採鉱地を探す。金鉱石や大量の廃石は木製の滑車に麻縄のロープで縛り付けた籠を用いて坑内から運び出す(図3)。手堀操作はつるはし、のみ、金槌、鍬、鋤などの原始的な道具を用いて行われる。

石英脈の金鉱石採掘作業の行程は最初に鉱石をハンマーで破砕し(図4)、そして古い自動車の車軸を乳棒とし、木製の乳鉢で鉱石の粉砕を行う。また手による鉱石の粉砕は粉砕石を用いて行われる。この方法は一般に女性が行っている。砕いた鉱石の再粉砕は細かく粉砕した岩石の粒子の中にある金を遊離させるために粉砕石の上で通常行われる。しかし、鉱石の粉砕はトラクターや自動車の車軸と連結した滑車を回転させる簡易式のボールミルによる簡便な方法が採用されている(図5)。

粉砕後、粉末状の鉱石を水とともに麻のマットの敷いてある流し樋上に流す(図6)。金を含む重鉱物はマット上にトラップされるが、軽い鉱物は流水によって流される。この方法は基本的には鉱石を重力分離によって選鉱している。最後にマットから濃縮した重鉱物が金なべに集められる(図7)。それから金属水銀をこの鍋に加え、揺らしながら濃縮した重鉱物と混合する(図8)。濃縮した重鉱物中の金は揺らしている間、水銀とアマルガム化される(図9)。この金−水銀アマルガムを鍋の中で重鉱物残留物と分離する。アマルガム化していない水銀は綿布の上に置いたのち搾り、過剰な水銀を取り除く。金鉱石の処理は一般に川を堰き止めて作ったため池で行われる(図10)。鉱石の選鉱や水銀アマルガム化は鉱山キャンプやMabubi川の近くで行われる。そのため重鉱物残留物や金属水銀による河川の汚染が生じる。

最終的に金−水銀アマルガムをアルミホイルやアルミでコートしたタバコ紙に置いたのち、水銀を蒸発させるために戸外の燃焼炉で加熱し、水銀アマルガムから金を抽出する。しかし、金採掘者がアマルガム燃焼に水銀回収蒸留器(レトルト)を使用することはまれである。この段階で金は金仲買人や国立商業銀行に売却するまでの純度になっている。金の取引する前に更なる金の精製が銀行で行われる。

Rwamagaza鉱山

Rwamagazaでの金採鉱は1984−85年に始まり、今日でも採鉱は続いている。野外作業時には鉱山地域には6,000人以上が働いている。金採鉱は立坑そして横坑が通じた坑内で行われている。この鉱山の金鉱石は少し変成し、剪断された苦鉄質火山岩を掘った石英脈に存在する。Rwamagaza鉱山における金採鉱方法は Mugusu鉱山と同じである。採鉱された金鉱石(図11)は簡易用トラクター用エンジンで動かすボールミルで鉱石を粉砕し、軽い細かな鉱物を除去し、重い鉱物を得るため砂金用の通し樋上で細かくされた鉱石を選鉱する。そして不純物を含む鉱物から金を分離するために水銀によるアマルガム化を行う。さらに金−水銀アマルガムは加熱容器にいれ、水銀を加熱によって蒸発させ、金を採取する。

Rwamagaza鉱山地区にはMugusa鉱山地区と異なり、近くに川は流れていない。この地区の排水路は特定の時期、すなわち雨期に一定量の水量をもつ排水沼地が生じる。それ以外の時期の排水路は乾燥しているか、湿ったままか泥化している。湿った土壌は鉱山居住者の野菜栽培に利用されている。Rwamagaza地区に出現する季節的な河川はMalagarasi盆地への局地的排水路を形成しNikonga川に入る。そして最終的にこの国の西部にあるTanganyika湖に入る。

Rwamagaza排水路系を介した水銀汚染の地域は鉱山から数メーターか数キロメーターの近い距離と考えられている。何故ならば、排水路沿いに農業用の沼や様々な汚染の拡大を防ぐ自然環境が存在するためである。とくに柔らかく湿った排水路に沿って存在する腐敗した有機物質が水銀と結合し、水や堆積物中から水銀を除去すると考えられている。その結果、下流への水銀の拡散は少ない。遠隔地まで達する広域な水銀汚染の拡散は排水路が水で氾濫する暴風雨の時期の間に生じる。

ビクトリア湖金鉱地の水銀汚染状況

タンザニア金鉱における環境影響は水銀汚染、川の沈泥化、土壌の浸食、過度の採掘と伐採による土地の退廃などが手堀採鉱と密接に関係している。とくに金鉱における水銀汚染モニタリングは“タンザニア鉱工業による環境影響”と呼ばれる事業計画に基づいて1992-1993年に始まった。

環境の水銀汚染モニタリングは土壌、河川、堆積物で行われている(表1)。加えて、魚、ヒトの髪や尿などの生体試料による水銀の生物学的モニタリングもビクトリア湖金採掘地域の幾つかの地区で行われている(表2~表4)。

ビクトリア湖金採鉱地域の水、堆積物や土壌中の水銀濃度はこの地域での水銀汚染状況が他地区より進んでいた(表1)。水銀汚染はビクトリア湖金鉱地内での水銀アマルガムによる金の生産量と一致している。川底の堆積物中の水銀濃度は世界の非汚染地域の堆積中水銀濃度(<0.3ppm)に比べ高い。しかしながら、ブラジルにおける”Garimpo”金採鉱で汚染されたアマゾン川の堆積中の水銀濃度と比較するとまだ低値であると言われている。

金採鉱地帯の河川水の水銀濃度もまだ低く、飲料水の水質基準 1ppm以下である。しかしながら、河川水の水銀濃度は採鉱活動による河川への水銀の排出を停止しない限り、上昇するであろう。水銀量は水の物理化学的変化(例えばpH)により上昇する。このような変化は堆積物中の有機物と結合した水銀の水層への移行を促進する。

金採鉱により影響をうけるビクトリア湖の水銀汚染の生物学的モニタリングでは湖の魚の水銀含量は非常に低いことを示している。魚中の高濃度の水銀は湖の水銀汚染を反映するが、ビクトリア湖で獲れる魚の水銀濃度は低く、湖の水銀による汚染まだ見られない(表2)。アマゾンで水銀に汚染されたTapajos川の魚の水銀濃度は高濃度(80-3820 ppb)であると報告されている。Tapajos 川流域に住む漁村民の毛髪中の水銀濃度は異常に高く、平均で10,200-35,900 ppbである。ビクトリア湖地域では、魚の中の水銀濃度は低く、Nungwe湾の漁村民の毛髪中水銀も低い(表3)。毛髪中水銀のほとんどがメチル水銀で、魚の摂取に由来する。当然、ここの漁村民は魚を多食している。

金−水銀アマルガムの燃焼を専門に行っている金採鉱作業者の尿中水銀は異常に高い値を示している(表4)。この水銀濃度はACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists)及び日本産業衛生学会の生物学的曝露指標である尿中水銀濃度35 g/l よりかなり高い値である。高濃度な尿中水銀濃度は作業者がアマルガム燃焼中に高濃度の水銀蒸気曝露をうけていることを示している。

Ⅳ 考察 及び、Ⅴ 結論(Ⅲ-3 海外調査の視察報告【1】における考察・結論)

将来へ向けた環境汚染の対策

タンザニア金採鉱地帯の水銀汚染調査の結果では、 Ikingura & Akagi (1996)2)は土壌、河川、堆積物が著しく水銀に汚染されていることを報告している。これは金鉱石処理に大量の水が使用され、その廃液が河川に放流されることに原因があり、もし金鉱石処理を河川から離れたところで行い、処理水の適切な貯蔵や再利用が行われるなら河川の水銀汚染は、劇的に減少することを示唆している。そのためは適当な場所に金鉱石処理に使用した水を貯水するため池が必要となる。最近ではMugusa やRwamagaza鉱山地区においては小さな貯水池を作り、その水を再利用し、水銀アマルガムの処理を行っている。貯水池やため池は土壌そして最終的には地下帯水層への水銀の漏出を防ぐための工夫が必要となる。残念ながら、両地区ともに貯水池をコンクリートで作るとか、防水シートを張るなどの水銀の漏出防止対策がなされていない。

金抽出に使用される水銀の再利用は小規模金採鉱においては大気中に放出する水銀を削減するための必要な対策である。例えば、水銀回収レトルトなどは、小規模金採鉱地区では最も有効な水銀回収方法である。行政はこのような装置を使用することを金採鉱作業者に指導しなければならなし、必要なら強制的に水銀回収レトルトの使用を指導すべきである。職業性水銀蒸気曝露の危険性は水銀回収レトルトを使用することにより減少できる。加えて、環境中への水銀放出を削減させるため対策として、小規模金採掘作業者の環境保全に対する意識の向上とそのための啓蒙活動が重要となる。GeitaやMugusa金鉱管理事務所には、金鉱採掘作業者に対し、安全な金採鉱法、環境保全のための金鉱鉱石の選鉱法、環境汚染や健康障害の予防のための水銀アマルガム燃焼法などを記したパンフレットが掲示してある。

今回、水銀アマルガム燃焼現場を視察することはできなかった。Ikingura & Akagi (1996)2)は水銀アマルガム燃焼作業者の尿中、毛髪中水銀濃度を測定し、高濃度であったことからこれらの作業者は高濃度水銀曝露をうけていることを示唆している。今後、ビクトリア湖やその周辺の小規模金鉱地域における水銀汚染の環境モニタリングの継続とともに水銀アマルガム燃焼作業者の水銀よる健康被害の実態把握が急務である。

引用文献

  1. J.R. Ikingura (2002) International Workshop on Health and Environmental Effect of Mercury. Guide to Geita gold mining area, lake Victoria goldfield, November 2002;21-23.
  2. J.R. Ikingura and H. Akagi (1996) Monitoring of fish and human exposure to mercury due to gold mining in the Lake Victoria goldfields, Tanzania. The Science of the total Environment 191:59-68. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8885424
  3. J.R. Ikingura (1997) Mercury pollution due to small-scale gold mining in Tanzanian gold fields. In: Small-scale mining in African Countries, Prospects, Policy and Environmental Impacts. Proceeding of an International Conference /Workshop 29th September – 1st October, Dar es Salaam, Tanzania.
表 1 ビクトリア湖金採掘地帯の河川及び土壌中の水銀濃度
試料 試料数 平均値(範囲)
(J.R. Ikingura (1997):Proceeding of an International Conference /Workshop より)
71 0.68 (0.01-6.8) g/l
堆積物 40 4.9 (0.02-140) ppm 乾燥重量
土壌 15 3.4 (0.05-28) ppm 乾燥重量
尾鉱 2 10 (0.28-31) ppm 乾燥重量
表2 ビクトリア湖Nubgwe湾で採取された魚類中総水銀とメチル水銀濃度
魚類 平均値(範囲) メチル水銀の割合(%)
(J.R. Ikingura (1997):Proceeding of an International Conference /Workshop より)
Tilapia (n=5) 2.4 (1.8-2.9) g/kg fresh weight 91
Nile Perch (n=3) 9.6 (6.9-12) g/kg fresh weight 95
Soga (n=3) 14 (7.8-17) g/kg fresh weight 99
Furu (n=3) 6.7 (5.4-8.4) g/kg fresh weight 80
Catfish (n=1) 2.2 g/kg fresh weight 73
表3 ビクトリア湖金採掘地帯の住民の毛髪中総水銀とメチル水銀濃度
  試料数 平均(範囲)
(J.R. Ikingura (1997):Proceeding of an International Conference /Workshop より)
Mugusu金鉱住民
総水銀 12 1.5 (0.42-5.4) ppm
メチル水銀の割合 11 27 (7.3-69) %
Nungwe湾漁村住民
総水銀 10 0.3 (0.16-0.44) ppm
メチル水銀の割合 9 48 (21-82)%
表4.ビクトリア湖金採掘地帯の住民と金採鉱作業者の尿中総水銀濃度
  平均値(範囲)
(J.R. Ikingura (1997):Proceeding of an International Conference /Workshop より)
Mugusa金採鉱
アマルガム燃焼作業者 240 (130-410) g/l
金採掘作業+アマルガム燃焼作業者 40 (1.8-100) g/l
職業的な水銀曝露ない作業者 2.6 (1.3-4.5) g/l
 
対照者(採鉱以外の地域) 2.3 (2.0-2.5) g/l
 
Nungve 湾漁村地域住民 1.2 (0.7-2.7) g/l

【2】セイシェル共和国視察報告

低濃度メチル水銀の胎児期曝露がその後の児の発達に与える影響に関する疫学的調査として広く知られているのは、デンマーク領Faroe諸島における調査とセイシェル共和国で行われた2つである。両者の結果の差異をめぐっては摂取源となる魚介類の種類や他の有害化学物質の曝露、さらには栄養学的、文化的背景など、様々な要因が議論されている。そのセイシェル共和国を訪問し、国の状況や進行中の調査を視察する機会を得たので報告したい。

セイシェル共和国の概要

セイシェル共和国は西インド洋沖、マダガスカル島の西北に位置する大小115の島々よりなる美しい国である。島々の面積は合わせて443km2と淡路島ほどの大きさである。気候は温暖で、青い海と空に浮かぶ花崗岩島、珊瑚島群は、かつては映画の舞台となり、今でも西洋週刊誌の水着ロケ等に使われている。人口約7万人のこの小さな国は、産業の殆どを観光に頼っているが、遠洋漁業(マグロ漁)の拠点としても有名であり、かつては日本の漁船も多く寄港していたという。歴史的にはフランス、イギリスの支配を経て、1976年に民主主義国家として独立、翌年フランス系の共産主義政党の政権下におかれたが、1991年に再び複数政党の連立による政権となった。住民は原住民およびフランス系の移住民が主で公用語は英語、仏語、クレオール語(現地語と仏語が混合したもの)であるが、19世紀に入り、中国、インド系の商人たちがアフリカ系の人々と共に移住し現在に至っており、その人種的背景は複雑である。宗教は90%がローマンカソリック、8%が英国国教会である。

Seychelles Child Development Study(SCDS)

この島国にローチェスター大学の研究グループが最初に足を運び入れたのは1980年はじめのことである。およそ半世紀に渡り、水銀毒性を研究し続けてきた当研究グループは、1970年代のイラクの穀物水銀汚染事件より人体の健康影響を調査してきたが、胎児期曝露においては低用量でもメチル水銀毒性が発揮され得ること、その様な曝露は日常的な魚食でおこることから、魚食を主とする調査対象を探していた。そこで候補となったのが、セイシェルである。

調査地としてセイシェルが選択されたのにはいくつかの理由がある。先ず、第一に、住民のおよそ80%が毎日魚を食すという高い魚摂取量があげられる。また、英語、仏語がほぼ全域で通じ言葉の壁が無いこと、島国で人口移動が少ないこと、その上高い教育・医療水準を誇っている(2001年の統計によると妊産婦死亡率も乳幼児死亡率も日本より低い値となっている) ことも疫学調査を継続していく上では重要である。共産主義の名残で、貧富の差が少ない (医師と事務官の給料の差は1.5倍) ことも児の発達に対する影響を鑑みて重要である。農薬など、他の化学物質の曝露も低いと言われている。何よりも当時、児の発達支援に力を入れていたセイシェル政府の力添えは大きかった。

第一次調査の対象となったのは1987年の一年間と1989年の一年間にMahe島 (セイシェル人口のおよそ4割が住む最も大きな島)で産まれた804組(予備調査)および779組(本調査)の親子である。予備調査では母親の毛髪水銀量、児の発達の指標として出生後5~109週の改訂版デンバー式発達スクリーニングテスト(DDST-R:Revised Denver Developmental Screening Test)、66ヶ月(217人)のMcCarcy Scales of Children’s Abilities、Preschool Language Scaleなどが測定された。しかしながら、この調査は他の交絡因子の評価が十分ではなく、また発達検査の方法も児の月齢に幅がありすぎて妥当ではないと判断され、本調査では6.5、19、29ヶ月時にベイリー式乳幼児発達検査(BSID : Bayley Scale of Infant Development) 、Fagan Test of Intelligence(FTII:児の視覚認知能力を測定する)、McCarcyテスト等が行われている。詳しい結果はすでに報告(平成10-13年度報告書参照)されているので割愛するが、この調査では胎児期メチル水銀曝露とその後の児の認知・行動発達の間には明らかな関連が認められなかった。その後、栄養学的背景に重きを置いたローチェスターグループは、アイルランドの栄養研究グループと共同で、母親、及び児の摂取栄養素に注目した疫学調査を2001年より開始した。調査では妊娠28週、出産時、1、5,9,15,24ヶ月時の母子の栄養学的調査(思い出し法による献立調査)と5、9、15,24ヶ月児のBSID、FTII、Visual Expectation test(VexP:ローチェスターチーム作の予期能力測定法、写真参照)が行われる予定である。2002年夏までに300名の登録が終了し、視察時には5ヶ月児の追跡調査が始まったばかりであった。1)2)3)4)

セイシェルでの現地調査

セイシェル (Mahe島) へはケニアから約4時間のフライトであった。Mahe島は花崗岩島で、切り立つ崖の海辺道が印象的であった。日本と西洋の家を混合したようなたたずまいの民家、漁港に停泊中の漁船などの風景は、まるで日本の一漁村の様であった。(写真1)首都であるビクトリアはヨーロッパをミニチュアにしたような、石畳のこぎれいな街で、行き交う人々の人種は中国系、インド系、アフリカ系など、確かに様々であったが、何よりも体格の良さに驚いた。町中の種々の看板はすべて英語、仏語、クレオール語の3言語で表記されていた。クレオール語は音を拾っていくと仏語になるところが面白い。

視察の内容は、国立病院およびChild Development Center訪問と調査の見学、Fishing Authority訪問、市内で魚市場など視察、Seychelles Bureau of Standards(SBS:水銀などの測定を行っている施設)訪問、調査チームとのdiscussion等であった。

病院および発達検査現場(Child Development Center)視察

Mahe島ほぼ全土の医療需要を賄う国立病院群は、小高い丘の上にあった。(写真2)煉瓦作りの広々とした重厚な建物は病院特有の慌ただしさを感じさせなかった。ここに国の各診療科および、健康・医療関係の研究施設の中枢が集約されている(というのもセイシェルには大学がないからである)。病院にはかなり高度な新生児集中治療室(NICU)も完備され、近隣の島々からはヘリコプターによる緊急患者輸送も行われているらしい。

Child Development Centerは病院の一角ある約4部屋ほどの空間であった。普段は保健指導に使われているらしいが、調査期間中は、対象者の登録作業、面談、生体試料の収集から発達検査等までがここで行われる。チームのメンバーはベテランの小児専門の看護師、保健師4名、および事務員1名より構成されている。10年前のstudyより関わっているメンバーは、対象者の家庭を熟知しており、登録者ほぼ全員を思い起こすことが出来るという。対象者の高い追跡率の背景にはこのような事情があげられるだろう。

午前10時過ぎ、1組の対象者が訪問。母子の健康状況、育児環境などに関するアンケート、児の計測、食事調査の説明などを終えて発達検査へと進む。暗室にてFTII、およびVexP(写真3)がおこなわれ、部屋を替えて BSIDが行われる。FTII、BSID 共に部屋の設営、証明、検査風景の撮影等に工夫がされていたのが印象的であった。児の検査を行うのは現地のメンバーであるが、事前に米国でのトレーニング、資格を受けており、また、検査現場の録画を一定頻度でローチェスター大学に送ってチェックをかけたり、年に数回ローチェスターグループが訪問して現場を審査したりと、調査の精度管理に力を入れている様がうかがえた。

Fishing Authority

漁港近くのFishing Authority(日本における農林水産省にあたる)で、Resource Managing Director のJoel Nageon氏と面談した。まず初めにセイシェルで捕獲される魚貝類:エビ・カニ類、サバ、あらゆる種類のタイ、マグロ、ハタなど数十種類が描かれたポスターを手渡された。(写真45)有名なのはマグロ類で、1 日の水揚げ量は100 tonにものぼるそうだ。しかしながら住民がマグロを食することは実にまれで、その殆どは缶詰にされて、ヨーロッパ全土、あるいは旧ソ連、タイなどに輸出されているそうだ。(写真4)また外国の漁船による捕獲も多く、捕獲国はスペイン、フランス、日本、台湾、韓国などとなっていた。(Seychelles Fishing Authority Annual Report 2001)住民が食すのは近海物のJack Fish(ギンガメアジ?ラテン名はCarangoides spp.で大西洋に生息するヒラアジ科の魚)がほとんどである。マグロに水銀が多く含まれているのは良く知られているが、アジ科の魚はそれほど多くはないのではないだろうか。いずれにせよ、これだけ水産業の盛んなSeyschelle国において魚の安全性は大きな問題に違いない。(写真5

市場視察

Victoria市内の市場およびスーパーを視察した。(写真6)市場では野菜類をはじめ、牛、豚、それに魚、土産品(亀・ココヤシグッズ、貝殻)などが売られていた。魚は確かに、大小さまざまな大きさのJack Fishで埋め尽くされていた。(写真7)冷蔵施設のないこの市場で、近海物のこの魚はその日のうちに消費されねばならないのだろう。一日の消費量はかなりに登ると思われる。

スーパーと呼べる店は一軒しかなかった。これも共産主義の名残か、出入り口も、店の商品も(殆どが単一の会社のもの)、すべて管理されていた。試しにマグロ缶を数個購入したが、日本と大差のないほどの物価の高さにも驚かされた。

SBS:Seychelles Bureau of Standards

安全基準局ともよべるこの施設は、狭い敷地内でセイシェル国内の生活環境中化学物質物質の測定と基準の作成を一手に担っていた。Director General のIrenee Joseph氏に話を伺い、施設内を見学した。JICAより提供された測定機器が沢山入っていたが、これらの機器の稼働率は高く、この施設の活動性の高さが伺えた。人材の優秀さも伺えた。

研究チームとの面談

研究チームおよびPrincipal Secretary of Health、 Madame McCawとの面談およびレセプションが実施された。Madame McCawは英国の女性であったが、Seychellesの美しさに惹かれて移り住み、Seychelles人と結婚したのだそうだ。この国で問題とされる健康問題は肥満、脳血管疾患、心臓病などの生活習慣病で、改めて住民の生活水準および健康意識の高さを思い知らされた。

Ⅳ 考察 及び Ⅴ 結論(Ⅲ-3 海外調査の視察報告【2】における考察・結論)

今回の視察を終えて、セイシェルが調査の対象国として優れた特徴を持つことを改めて確認できた。かつて植民地であった小さな島国ではあるが、人々の暮らしぶりは豊かであったし、教育、環境対策、医療水準も高いことが伺えた。セイシェルには大学がなく、実際に調査を行う現地のスタッフは心理学者ではいないが、メンバーの一人一人は主にイギリスで教育を受けた小児保健のプロでもあり、検査手技はロチェスターのグループの指導の元、落ち度はないものと思われた。

難しいと感じたのは、これだけ人種の豊かな国なので、人種差をどのように考慮するのかということだ。言語背景が各家庭でことなることも重要であろう。オリーブ油やココナツ油を多く採る食生活は近年控えられているようであるが、それがどのような修飾要因となるのだろうか。またJack Fish由来の水銀や汚染化学物質のパターンが鯨のそれと違うことも容易に想像出来る。国土に畑が少ない状況では、野菜などは一部を除いては輸入されていることが伺えるが、その様な食物の農薬などの化学物質の曝露は管理されているのかと思われた。

いずれにせよ、文献ではかいま見ることの出来ない実際の調査現場をこの目で見ることが出来たのは、今後日本での調査を実施していく上でも大変参考となった。このような機会を与えて下さった皆様方に深謝する。

引用文献

  1. Marsh DO, Clarkson TW, Myers GJ, Davidson PW, Cox C, Cernichiari E, Tanner MA, Lednar W, Shamlaye CF, Choisy CH and Merlin M (1995). The Seychelles Study of fetal methylmercury exposure and child development: Introduction. NeuroToxicology, 16 (4), 583-596. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8714865
  2. Shamlaye CF, Marsh DO, Myers GJ, Cox C, Davidson PW, Choisy O, Cernichiari E, Choi A, Tanner MA and Clarkson TW (1995). The Seychelles Child Development Study on neurodevelopmental outcomes in children following in utero exposure to methylmercury from a maternal fish diet: Background and demographics. NeuroToxicology, 16 (4), 597-612. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8714866
  3. Myers GJ, Davidson PW, Cox C, Shamlaye CF, Tanner MA, Marsh DO, Cernichiari E, Lapham LW, Berlin M and Clarkson TW (1995). Summary of the Seychelles Child Development Study on the relationship of fetal methylmercury exposure to neurodevelopment. NeuroToxicology, 16 (4), 711-716. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8714875
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  5. Annual Report 2001, Seychelles Fishing Authority

別表-1 水銀汚染に関連する論文

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図1 ビクトリア湖周辺の金採鉱地
図1 ビクトリア湖周辺の金採鉱地
図2 立坑掘り
図2 立坑掘り
図3 鉱石の運搬
図3 鉱石の運搬
図4 鉱石の粉砕
図4 鉱石の粉砕
図5 ボールミルによる鉱石の粉砕
図5 ボールミルによる鉱石の粉砕
図6 重力分離による鉱石の選択
図6 重力分離による鉱石の選択
図7 マットからの金鉱石の抽出
図7 マットからの金鉱石の抽出
図8 金鉱石と水銀の混合
図8 金鉱石と水銀の混合
図9 金−水銀アマルガムの作成
図9 金−水銀アマルガムの作成
図10 Mabubi 川側での金選鉱作業
図10 Mabubi 川側での金選鉱作業
図11 採掘された金鉱石
図11 採掘された金鉱石
写真1 停泊中の漁船
写真1 停泊中の漁船
写真2 Seyshelles Hospital
写真2 Seyshelles Hospital
写真3 VexP
写真3 VexP
写真4 Can Factory 敷地
写真4 Can Factory 敷地
写真5 魚ポスター
写真5 魚ポスター
写真6 Victoria市内市場付近
写真6 Victoria市内市場付近
写真7 Jack Fish(市場にて)
写真7 Jack Fish(市場にて)

Studies on the international collaboration for countermeasures against mercury pollution
- Review work on the effects of methyl mercury with the emphasis on the neurobehavioral effects of in-utero low-dose exposure -

Hiroshi Satoha, Kunihiko Nakaia, Satomi Kameoa, Akira Naganumab, Katsuyuki Muratac, Minoru Yoshidad, Hirokatsu Akagie, and Tomoko Okaa, f

a Environmental Health Sciences, Tohoku University Graduate School of Medicine, Sendai, 980-8575, Japan
b Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University, Sendai,980-8578, Japan
c Department of Hygiene, School of Medicine, Akita University, Akita, 010-8543, Japan
d Department of Chemistry, St. Marianna University School of Medicine, Kawasaki, 216-8511, Japan
e National Institute for Minamata Disease, Minamata, 867-0008, Japan
f Department of Public Health, Kumamoto University School of Medicine, Kumamoto, 860-0811, Japan

Key words: mercury pollution, neurobehavioral effects, RfD, in-utero & low-dose exposure, Tanzania, the Seychelles

Abstract

Mercury pollution is still found in the world by various causes. Because of the bio-transformation to methyl mercury and bio-concentration of the formed methyl mercury in the eco-system, some human populations are exposed to methyl mercury. It is known that the fetus is more susceptible than the adult. Therefore, cohort studies have been conducted being focusing on the neurobehavioral effects of in-utero low-dose exposure to methyl mercury in children.The aims of our study group are 1) to identify the mercury pollution problems in the world and to develop counter measures against environmental and occupational exposure to mercury, and 2) to clarify the health effects of methyl mercury, especially the neuro-behavioral effects of in-utero low-dose exposure to methyl mercury. During the fiscal year 2002, we surveyed literature database, Medline, to find out mercury pollution problems in the world. The number of “hit” is 118 for recent 6 years. We also tried to search literature database, Dialog, to find out mercury pollution problems reported in newspapers (USA Today). By scanning the titles of the papers, it has become clear that the source of the pollution is not only gold-mining using metallic mercury but also waste of dental amalgams.

The examination of reference dose (RfD) calculation of methyl mercury in EPA is reviewed for better understanding of the exposure level during pregnancy to produce a neurobehavioral effect in children. We had an opportunity to visit Geita gold mining area, lake Victoria goldfield, Tanzania and reported mercury pollution due to small-scale gold mining in Tanzanian gold fields. We reported also the Seychelles Child Development Study focusing fetal methylmercury exposure and the visit to the Child Development Center, Fishing Authority and fish market in Seychelles.

The next step is precise review of relevant literature to form effective countermeasures against mercury pollution, and to understand neurobehavioral effects of in-utero exposure to methyl mercury