2013年7月28日から31日の4日間にわたりメイン会場内のNIMDブースにおいて希望者の毛髪を採取し,日本インスツルメント社MA-3000にて総水銀濃度を測定した。測定結果は,サンプリングの翌日以降に会場で手渡ししたほか,Open Day単日参加の一般来場者や,会期中に結果を取りに来なかったものには後日メールにて送付した。
総参加者数は表1に示すように240名で,女114名,男126名であった。国別は43か国で,地域別ではヨーロッパ103名のほか,北アメリカ75名,アジア39名などであった。年齢階級別では30歳代がもっとも多く,年齢判別者の88.2%を20~59歳が占めた(表2)。
地域 | 女 | 男 | 計 |
---|---|---|---|
ヨーロッパ | 60 | 43 | 103 |
北アメリカ | 34 | 41 | 75 |
南アメリカ | 7 | 11 | 18 |
アフリカ | 1 | 3 | 4 |
オセアニア | 0 | 1 | 1 |
西アジア・南アジア | 3 | 3 | 6 |
東・東南アジア (日本) |
9 (5) |
24 (8) |
33 (13) |
合計 | 114 | 126 | 240 |
性別 | 年齢階級 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0- | 10- | 20- | 30- | 40- | 50- | 60- | 70- | 不明 | 計 | |
女 | 3 | 3 | 24 | 44 | 21 | 15 | 3 | 0 | 1 | 114 |
男 | 2 | 0 | 18 | 33 | 30 | 25 | 15 | 2 | 1 | 126 |
計 | 5 | 3 | 42 | 77 | 51 | 40 | 18 | 2 | 2 | 240 |
測定の結果,表3に示すように,毛髪水銀濃度は0.01~12.74 ppmの範囲に分布し,平均濃度(幾何平均)は女 0.41 ppm,男 0.57 ppm,全体で 0.49 ppmであった。男女別の濃度分布を図1に示す。
性別 | 最小 | 最大 | 幾何平均 |
女 | 0.01 | 6.17 | 0.41 |
男 | 0.01 | 12.74 | 0.57 |
計 | 0.01 | 12.74 | 0.49 |
地域別の毛髪総水銀濃度の平均(幾何平均)を図2示す。この結果,日本からの参加者の平均値がとくに高かったほか,(日本を除く)東アジア・東南アジアおよび,中央・南アメリカからの参加者などで比較的高くなる傾向が認められた。
毛髪総水銀濃度は魚介類摂取頻度と顕著に相関し,魚を「まったく食べない」群に比べて「毎日食べる」群では平均濃度が20倍以上高くなった。魚介類摂頻度による毛髪水銀濃度の増加は図3に示すように男(26.9倍)の方が女(14.6倍)よりも大きかった。