第18回健康セミナー開催報告
と き 2009年12月5日(土)
講 師 社団法人熊本市医師会熊本地域医療センター 総合診療部長 田上 正先生
テーマ 「緩和ケアについて考える~がんとうまくつきあうために~」
12月5日(土)、情報センターで第18回健康セミナーを開催しました。
今回は「緩和ケアについて考える~がんとうまくつきあうために~」というテーマを取り上げました。
テーマのおもさにも関わらず、会場が笑いにあふれる場面もありました。またがんと向き合うことで死とは何なのかを考えさせられる内容でした。
それではご講演の内容を一部ご紹介します。
①緩和ケアとは
そもそも、がん治療における緩和ケアとはつらくないようにがんとつきあっていくための方法です。患者さんはがん治療と緩和ケアを平行して行います。また患者さんだけではなく患者さんのご家族を含めてがんという病気を相手に闘います。
しかし、がん治療における緩和ケアは終末期だけのものではありません。さまざまな段階で出てくる患者さんたちの「苦しい」、「痛い」といった訴えを聴き、その症状を和らげることが緩和ケアです。
②患者さんの希望と現実
がん患者さんが最期にすごす場所として希望する場所は圧倒的に自宅が多いそうです。しかし実際に最期を迎えられる場所は病院が非常に多く、自宅で最後を迎える方はごくわずかだそうです。
また医師の偏在による医師不足が鮮明にでる地方では、救急医療を担う医師と終末医療を担う医師が少ないのが現状で緩和ケア病棟は増えてはいるもののまだまだ足りないのが実状です。その結果、患者さんに満足した緩和ケアを含めた医療の提供が行われていないのが見受けられます。
③増えてきた緩和ケア病棟
全国でみると、1990年当初は5施設117床からスタートした緩和ケア病棟も2009年5月1日現在では193施設3766床にまで拡大しました。熊本県では現在7施設121床の緩和ケア病棟があります。これをみてもわかるように緩和ケアについての理解が大変深まっています。また、各地でがん治療に携わる医療関係者の“緩和ケアについて考える研修”が行われ、早期のがん治療と緩和ケアを同時並行で実施する形が一般的になってきました。
今回も水俣市を中心に周辺市町の方も足を運んでくださいました。年齢層は、60歳以上の方がおよそ7割を占めていました。
セミナー終了後のアンケートにご記入いただいたご意見の一部をご紹介します
【今回の健康セミナーは】
・水俣芦北での緩和ケアの推進の立ち遅れ、市民の関心の低さを強く感じます。
・看取りの場、時について改めて考えさせられました。
・すばらしい内容でした。人生観が変わりました。
・緩和ケアの発達(普及)が今後も進んでいくことを望みます。
・とても良いセミナーで満足しました。田上先生ありがとう!!
【今後、取り上げてほしいテーマ】
・インフルエンザ等のタイムリーな話題
・最先端の医療
【国水研・情報センターの活動について】
・地域ともっとかかわってほしい。
・地道な活動をされていることを承知しています。国水研の一般公開や健康セミナーなどすばらしい企画です。残念なことは水俣周辺地域の住民がそれを知らず活用できていないことだと思います。このような企画を定着させ広めることに大変な努力をされていらっしゃると思いますが今後とも期待しています。
ご来場いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
次回は歯をテーマとして、2010年2月27日(土)又は3月6日(土)の開催を予定しておりますので是非ご来場下さい。
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